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[2008/11/24]長いリーグ戦の果てに/カターレ4位以内確定

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 勝っておごらず。負けてひるまず―。目標を果たすため、ずっと気持ちを抑えて戦ってきた選手たちが歓喜の瞬間を迎えた。白い歯、抱擁、うれし涙、万歳。スタッフたちもまぶたを赤くはらした。2008年11月23日、カターレ富山がJFL4位以上を決め、Jリーグ昇格を確実にした。

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=MIOびわこ草津戦を前に円陣を組むカターレの選手たち=

        (11月23日、滋賀県湖南市民グラウンド)

 長く、厳しいリーグ戦だった。勝てば4位以内が確定するこの試合も苦労した。前半から攻勢をかけたが、なかなかゴールが奪えない。後半14分に先制したが、25分には鋭いミドルシュートがGK中川雄二選手を襲った。31分に2-0と突き放したが、42分に失点した。ロスタイムの4分間も気を抜くことができなかった。
 「頭の中が真っ白。シーズンのことは、まだ冷静に振り返ることができない。選手たちが1年間よくやってくれた」。報道陣に囲まれながら楚輪博監督が語った。

 アローズ北陸、YKK APが合流してJリーグを目指すことが発表されたのが昨年9月10日。“合併”によるチームづくりの難しさは承知のうえで、「融合、そして躍進!」のスローガンに決意を込めた。年ごとに競技レベルが上がるJFLで、ある程度の苦戦は覚悟していた船出だった。
 開幕5試合で1勝3敗1分けと出遅れた。前期10節ソニー仙台FCに敗れた時点で4位との差は勝ち点12に広がった。しかし、後期第4節までの11試合で7勝1敗3分けと挽回して初めて4位に浮上。試練を乗り越えて成熟したチームは、上位が大混戦となったリーグ終盤で負けられない戦いをしのぎ切った。

 Jリーグ入りを目標に掲げると、クラブ外の環境も一変した。昨年まで1試合平均700人前後だったホームゲームの観客は4000人を超す。ふがいない試合には罵声も飛んだ。高まる期待と重圧の中、チームは求められた仕事をやり遂げ、プロリーグ昇格にふさわしい力と心を証明した。

 「結果が出ない時期はつらかったが報われた。どんな状況になっても、自分たちはやれる、J2に上がれると信じてきた。応援してくれたすべての皆さんに感謝したい」とFW石田英之選手は話した。
 選手29人のうち唯一、北信越リーグ時代を知るDF堤健吾選手は「JFLを目指した00年も、ぎりぎりの戦いだった。YKK入社1年目でがむしゃらでした。(カターレの)若い選手はしっかりしていて、今は指示される方です」と笑う。「こういう場に立っていることに幸せを感じています」と遠くに目をやった。
 リーグ開幕の3月16日から33試合253日目。喜びを分かち合う選手とサポーターを晩秋の夕日が照らした。

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