[2015/04/20]富山まちなかスタジアム構想を公表
富山経済同友会の提言「まちなかスタジアム構想」が20日に公表された。建設の適地を富山城址公園内と明示し、開閉式の屋根を整備計画に盛り込んだ意欲的な内容だ。
示されたのはコンベンション・文化ホール、商業施設を併設する多機能複合型のサッカー専用スタジアム。観客15,000人を収容する地上5階・地下1階建て。建設費はピッチを覆う開閉式屋根付きなら125~155億円、同屋根なしなら85~115億円と試算した。
■商談向けラウンジシートも
提言を作成した同会地域活性化委員会の市森友明委員長は同日の記者会見で、「スタジアムには防災拠点など都市に必要なさまざまな機能を詰め込むことができる」と説明した。ホールや会議室は周辺の国際会議場などと連携したコンベンション開催を想定。商談などに利用できるラウンジや屋内ランニングトラックなども計画に記されている。
中心市街地にスタジアム建設する意義として強調したのが、商業振興や公共交通機関の利用促進、まちの誇りの醸成といった地域活性化への貢献。臨場感のある新スタジアムの建設によりカターレ富山のホームゲームへの入場者は現在の1試合平均4,000人から8,000人に倍増すると見込む。また複合施設への来場、サッカー以外のイベント開催によって試合日以外も集客が可能で、周辺の商業地域への効果は大きいとしている。算出した経済効果はサッカーやイベント開催による直接効果が年間約15.4億円、間接効果を含めると同約23億円。
■建設効果を最大限に考えて適地絞る
富山城址公園の西側を候補地に挙げた理由として市森委員長は「議論を呼ぶのは承知したうえで、スタジアム建設による効果が最も大きくなる場所だから」と説明。周辺人口の多さやアクセスなどを考慮して県内では富山市を選び、城址公園のほか富山大学周辺の五福地区、新駅の設置が検討された鍋田周辺を比較し、まちなかスタジアムのもつポテンシャルが最大限に発揮される場所として決めたという。市民への理解を求めるための『過去(城址)と未来(スタジアム)の共生/静(歴史)と動(プロスポーツ)の共演』という整備コンセプトも提言に掲げている。
■実現のかぎは世論や企業の動き
建設費の捻出など実現のための事業スキームとしては、企業や市民からの寄付を中心に費用を集めたガンバ大阪のホームスタジアム(現在建設中)のケースやPFI方式をモデルとして示して民間の力の活用を提案している。報道陣から提言の現実性を問われ、市森委員長は「実現のためには(経済同友会を離れて多くの機関が参画する)さらに大きな枠組みが必要。世論や企業の働きかけが行政を動かすまで高まった時に可能になる」との考えを述べた。
富山経済同友会としては、提言だけに終わらせず、実現の方法を本年度以降も検討していくという。今後、県や富山市にも今回の提言の内容を詳しく説明する機会を設ける予定。提言作成のために行ったカターレ戦の来場者に対するアンケートでは建設に賛成の意見が多数を占めた。「あったらいいよね」という思いは多くの人が抱いており、この提言をきっかけに行政、経済界、市民がどう反応するか注目したい。
(文責・赤壁逸朗)