[2008/08/08]【スポーツの力】オリンピック教育<上>
北京五輪が8日、開幕する。
富山大学芸術文化学部の立浪勝教授は先月10日、「健康スポーツ」の講義でオリンピックの歴史や意義を学生たちに話した。4年に1度の五輪への注目が、スポーツへの関心や理解へと深まってほしいと考えて企画した。
近代五輪の起源となったギリシア古代五輪の精神から始め、五輪開催を主唱したクーベルタン男爵の理念、世界大戦による3度の中止や商業主義による肥大化といった紆余曲折などを紹介した。
立浪教授の手もとに、カナダのオリンピック委員会が子供向けに作成した教本がある。1994、95年に研修で滞在した際、カナダスキー連盟の会長から贈られた。同国では、五輪の歴史と意義を教える「オリンピック教育」が盛んで、すべての小学校に教本が配布されているという。「日本のオリンピック教育に役立ててください」と手渡された。
「カナダは“サラダボウルの国”。多様な人種が集うモザイク国家ゆえ、互いを尊重し合うことが重要とされます。国づくりの理念と、オリンピックの精神が合致していると感じました」と立浪教授。「人の生き方、考え方、生まれ育った文化―それぞれを認めて尊重し、自分も尊重してもらう。そんな理想を五輪はメッセージとして伝える力がある」と期待している。
「平和主義や個人の尊重といった理想に思いをはせると、現実の五輪の矛盾にも気づくかもしれません。日本選手の活躍だけでなく、さまざまな観点から北京五輪を楽しんでください」と講義を締めくくった。※立浪教授は、高岡総合プールの機関紙でコラム・教育の中の水泳を連載中です→
http://www.sportsnet.pref.toyama.jp/member/takaokapool/health-swim/vol18/index4.html