[2010/07/18]夏の高校野球富山大会/甲子園めざし51校が熱戦
第92回全国高校野球選手権の富山大会は17日に試合が始まり、1回戦10試合が行われた。決勝は28日の予定。
※朝日新聞の特設ページ
http://www2.asahi.com/koshien/92/toyama/
勝ち急ぐ気持ち抑え
逆転勝ちした富山一の選手たちは九回裏の守りにつく前にマウンドに集まった。そろって小さくジャンプし、笑顔で各ポジションに散っていった。氷見に2点を先取される苦し い展開だったが七回に追い付き、九回に1点をリードした。勝ち急いで慌てる恐れもあったが、この機転を利かせた行動が功を奏してか、相手打線を三者凡退に抑えた。
キャプテンの高森貴大選手によると「緊張を楽しもう。やってやろうぜ」と声を掛け合ったという。黒田学監督は「選手たちが1年間で成長した証。わたしの手から離れて自主的に動いている」と喜び、「『野球は9イニング。思い通りに進まなくても必ずチャンスはくる』と伝えていた。リードされても冷静に戦ってくれた」と称賛を惜しまなかった。
無念さこらえ気丈に
接戦に敗れた呉羽のキャプテン太田銀河選手は「勝ち負けよりも一生懸命にやることが僕らにとっては大事だった。そう思ってここまで毎日やってきた。悔いがないとは言えないけれど、きょうはみんなで戦えた」。目を赤くしながら気丈に語った。
4番の太田選手、エースの竹内桂人選手らを中心に春の県大会では強豪校と互角に渡り合った。前任の新湊を甲子園で率いた経験のある杉本等監督も手ごたえを感じる好チームだったが、1-1に追い付いた直後の九回表に高岡南に3点を奪われて力尽きた。「選手の動きが硬かった。初戦の難しさをあらためて感じた」と杉本監督は話した。
途中出場で同点打を放った佐々木毅人選手は「先発出場じゃなくても声を出してベンチで一緒に戦おうと心に決めていた。全力でやれた。悔しいけれど、これをバネできたらと思う。人生はこれから」と語り敗戦を受け入れようとした。竹内選手も「打たれてもよいぐらいの気持ちで思い切って投げた。疲れではなく力がなかったから打たれた」と淡々と振り返っていたが、チームメートへの思いを尋ねると「入部してから辞める者もなくみんなで一生懸命にやってきた。大事な仲間」。涙があふれ右手でまぶたを覆った。