[2010/12/28]勝負を分けた“勢い”/トナミ運輸、6年ぶりVならず/バドミントン日本リーグ
バドミントン日本リーグは26日、東京・墨田区総合体育館で最終日があり、男子のトナミ運輸は日本ユニシスとの全勝対決に0-3で敗れて6年ぶりの優勝を逃した。準優勝は2年連続。日本ユニシスは2年連続4度目の制覇。女子も今季1部に昇格したばかりの日本ユニシスが制した。
男子の優勝が最終日の全勝対決で決着するのはトナミが4連覇を達成した04年以来。トナミは第1ダブルスのヘンドラ・セティアワンと園田啓悟のペアが1-2(21-19、18-21、20-22)で逆転負け。続くシングルスでも佐々木翔が1-2(21-18、14-21、16-21)で競り負けて、第2ダブルスを待たずに敗戦が決まった。
※バドミントン日本リーグHP http://www.badminton-league.jp/
小さくて大きな勢いの差/トナミ、団体戦の難しさ痛感
勝負強さで相手が一枚上手だった。トナミ運輸の荒木純監督は「優勝する力はあったが、日本リーグで勝つことの難しさをあらためて感じた。しばらく優勝していないチームが勝つにはもうひとつ勢いが必要だった」と話した。
6年ぶりの優勝に向けて態勢は整っていた。ダブルスで平田典靖と橋本博且のペアが全日本総合2連覇を果たすなどエースに成長。今季移籍した園田啓悟をはじめ若手が力を伸ばし、日本リーグと並ぶ団体戦のタイトル、全日本実業団選手権を制した。秋には北京五輪のダブルス金メダリストのヘンドラ・セティアワン(インドネシア)がチャンドラ・ウィジャヤに代わって加入した。出場した個々の選手は相手と互角以上の力を備えていたといえる。しかし、リレー方式で競う団体戦という舞台が勝負のあやをもつれさせた。
シングルスの佐々木翔は「個人戦とは違うプレッシャーを感じた。チームが負けたのは自分の責任」と振り返る。「(第1ダブルスで敗れて)絶対勝たなければいけない状況になって、試合途中での気持ちの切り替えがうまくできなかった。集中力が切れたり、弱気になったりする場面があった。最終ゲームの最後になってようやく自分のリズムをつかめたが遅すぎた」と悔やんだ。
一方、対戦した日本ユニシスの池田雄一は持てる力を発揮し、「今季一番のゲームができた」。我慢強くコートを走り回り、日本ランキングで格上の佐々木を下した。勝利を決めると弾けるようにコートを飛び出して観客席に向かってガッツポーズ。挑戦者として心に秘めていた思いを爆発させた。
元トナミ運輸主将で日本代表コーチの舛田圭太さんは「ベンチの雰囲気を見ていて両チームの勢いに差を感じた」と話す。日本ユニシスは、池田が勝負どころのポイントを奪うたびにベンチの選手たちがコートに入らんばかりに大喜びして後押しした。単なる盛り上げ方の差ではなく、そこにはチームの総合力の違いが反映されていると舛田さんは指摘する。
日本ユニシスはこの日、シングルスでアジア大会代表の山田和司、ダブルスで全日本総合2位の数野健太・廣部好輝が控えに甘んじた。「ユニシスは競い合っているからこそ選手が一丸になれたのだろう。比べてトナミは出場選手と控えとの実力差が大きい。日々の練習によって全員の力を底上げしてほしい」と後輩たちにエールを送った。
トナミ運輸の安村康介主将は「どちらに転ぶか分らない試合だったが、負けたということはまだやるべきことがあるから。これからも、きょうのような接戦が続くと思うので今度は勝てるようにしなければ」と語った。