[2011/07/21]【高校野球】ベテラン監督2人、新天地で選手と歩み夏1勝
【16日・1回戦 高岡10-5砺波】
攻めの姿勢でチーム一丸/高岡の水野監督と選手たち
高岡が八回に4点を勝ち越して砺波との接戦を10-5で制した。今春から、高岡商と福岡を甲子園出場に導いた水野行俊監督が指導している。「終盤の粘りに生徒たちの成長を感じた。厳しいことばかり言ってきたがよくついてきてくれた」と新天地での1勝に笑みを浮かべた。
打線が活発で17安打で10点を挙げた。無理に引っ張らずにセンターや逆方向に打ち返して相手の左投手を攻略した。5-5の同点で迎えた八回二死走者なしから4安打を集中、荒川と杉江の適時打で4点を勝ち越して勝負を決定づけた。安打17本のうち15本が短打だった。インサイドアウトのスイングなど基本を徹底してきたという。加えて「ミートポイントが安定していない感じがしたので、7月に入って打撃練習をハーフバッティング中心に切り替えた」と水野監督。「ポイントさえつかめば調子は上向くと思っていたが、きょうは本当によく打った」と話した。
今年はチームスローガンに「攻」を掲げた。主将の西川丈滋中堅手は「攻撃でも守備でも攻めの気持ちが大事だと考えて決めた。実力があったとしても勝負を左右するのは最後に1歩前に出ることができるかどうかだと思ったから」と話す。4月に赴任した水野監督は「わたしもこの字が好きだ」と彼らに話したという。
1番打者として4安打を放った吉田雄貴捕手は初回の初球をセンター前に弾き返した。「最後の夏。もしボール気味でも思い切って打とうと思っていた」と話す。攻めの姿勢を体現してチームを引っ張った。西川主将は「監督は今までと違う見方や自分たちに足りないことを教えてくれた。そこまで言われるかと思うほど厳しく叱られたこともあるが信じてついてきた。きょうは監督も含めて一体となって戦えた」と笑顔で振り返った。
【17日・1回戦 富山9-8福岡】
選手に求めた意識改革/富山が夏1勝
富山はシーソーゲームの末に9-8で昨秋4強の福岡を下した。富山商から異動して今春から指揮を執る澤田利浩監督は「我慢強かった。選手たちの1勝にかける執念を感じた」と話した。
福岡に2点を先取されたが四回に1番の寺崎がチーム初安打となる適時二塁打を放つなどして4点を挙げて逆転。六回に5-6と再逆転されたがその裏に4番牧野の2点タイムリーで再びひっくり返した。
九回は1点差に迫られたが、二死満塁のピンチを辛くもしのいだ。炎天下、約2時間半にわたった乱戦を一人で投げ抜いた加藤宣幸選手は「落ち着いて投げることを心掛けた。澤田先生に意識づけてもらったことです。もし追い付かれても裏の攻撃がある、と思って1つずつアウトを取ろうという気持ちだった」と振り返った。
練習時間が短いため、澤田監督は選手たちにグラウンドでのきびきびした行動を徹底するように指導した。「野球は楽しむことが大事。しかし、同じ土俵で勝負する以上は練習時間の短いことを絶対に言い訳にしてはいけない」と言う。「時間が限られているにもかかわらず、まだ富山商の選手よりもてきぱきできていない」と苦笑しながら話した。
翁歩侑キャプテンは「時間は有限であり密度の濃い練習をすること。お互いに指摘しあって向上しようとする厳しさを教えてもらった」と語る。加藤投手は「野球によって人生に通じるものを学べる、と澤田先生は教えてくれた。この夏、自分も何かをつかみたいと思う」と話していた。