[2011/10/03]【秋の高校野球】古豪、初戦負けから再起/富山商3年ぶりV
高校野球の秋季富山県大会は2日、県営富山球場で決勝があり、富山商が15-3で不二越工に快勝して3年ぶり18度目の優勝を果たした。3位決定戦では砺波工が10-6で富山一を下した。上位3校は北信越大会(14日開幕・長野県)に出場し、来春の全国選抜大会出場を目指す。
夏の悔しさばねに富商野球の真価示す
富山商が鮮やかな先制攻撃で圧勝した。一回、藤岡康樹二塁手が右中間に3ラン、続く萩野雄二郎一塁手も左中間にソロ本塁打を放って一気に5点を先取。その後も五回に7点を加えるなど17安打で15点を奪った。
今大会は好機を逃さずに得点する集中力が光った。5試合すべてで一回に先制点を挙げている。「たまたまそうなったとは思うが、夏の悔しさがプレーに表れているのかもしれない」と前崎秀和監督。夏は1回戦で0-15の五回コールド負けを喫した。「あんな負け方は二度としたくない」(藤岡二塁手)。屈辱的な敗戦を ばねにして頂点まで登りつめた。
前崎監督は「野球への取り組み方はずっと変えていない。3年生の残してくれたものに1、2年生は乗っかっている。やってきたことが間違っていなかったことを結果で示すことができてよかった」と話した。
広田和也主将は「練習でやってきたことを実戦で出せるチームを目指してきた」と言う。守備ではミスを少なくしてなるべく失点を抑えること、攻撃では犠打を絡めながら鋭いライナーやゴロで安打を重ねることなど、基本に忠実な富山商らしい野球で勝ち上がった。それらを油断なく「やり切る」こともテーマだった。大きくリードしていても簡単に飛球を打ち上げる打者がいると、監督はその場で厳しく指導した。
北信越大会出場は5季ぶり46度目で、秋は準優勝してセンバツ出場を決めた08年以来。広田主将は「今大会は目標にしている野球ができた。北信越大会でも目の前の試合を一つずつ勝っていきたい」と話した。
大ベテランも驚く成長力/不二越工
不二越工はノーシードから決勝まで勝ち進んで4季ぶり11度目の北信越大会出場を決めた。今大会から復帰した73歳の陸田俊行監督は選手の成長ぶりを喜び、「子どもたちの力というものは分らないものですね。驚きました。夏からこれほどまでに変わったチームは過去にも記憶がない」とほほ笑んだ。
新チームになってすぐは夏の練習試合でもなかなか勝てなかったという。監督は「わたしもこの歳ですから気が長くなってあまり怒らなくはなりましたが、こんなに弱くては先輩たちにも顔向けできないぞ、と選手たちに言っていたんですよ。一つひとつのプレーを一生懸命にやろうと呼び掛けて練習してきました」と振り返った。
原動力となったのはエースの斉藤亮投手と、主将の多田大介捕手のバッテリー。準決勝の富山一戦では追われる苦しい展開を粘り強く守り切った。斉藤投手は「同じような試合展開が多かったので慣れてきたのかもしれません。力まずに投球できるようになった」。多田主将は「意識すること、感謝することを主旨にした部訓があります。自主練習の時間が長くなり、一人ひとりが考えながらやっています」と話していた。
実力校対決で明暗/砺波工・富山一
3位決定戦は砺波工が打撃戦の末に富山一を下した。両校とも夏の県大会にも出場した1、2年生が多く残って前評判が高かった。
砺波工は「スモールベースボール」をテーマに掲げて走塁や犠打などを絡めた緻密な攻めをトレーニングしてきたという。送球間の進塁や正確なバントに成果がうかがえ、今回は失敗したもののツーランスクイズを仕掛ける場面もあった。打撃でも相手投手を研究して14安打で10得点。村井実監督は「攻略の難しい好投手を本当によく打った。指示を理解して徹底する力がある」と選手をほめた。3季ぶり8度目出場の北信越大会で初のセンバツ出場を狙う。
一方の富山一は序盤に2つの送球ミスがいずれも失点につながるなどしてリズムを崩した。黒田学監督は「不安要素が出てしまった。試合を重ねていくとごまかしは利かない。原因を明らかにして克服していきたい」と話した。