[2015/06/03]ローズ選手がサンダーバーズへ/友人に請われ“男気”
野球独立リーグ・ルートインBCリーグの富山GRNサンダーバーズは3日、タフィ・ローズ選手兼任コーチの入団記者会見を行った。同チームが高岡市を練習拠点としていることから市役所が会議室を会場として提供。市長も会見に同席して大物助っ人の加入が地域の盛り上がりにつながることを期待した。
ローズ氏はプロ野球の近鉄や巨人などで活躍し日本通算464本塁打の有名選手。オリックスでプレーした2009年を最後に一線から退き現在46歳だが、近鉄で一緒にプレーした吉岡雄二サンダーバーズ監督から誘われて現役復帰を決心した。
サンダーバーズ加入の理由を問われ、「古い友人である吉岡さんと一緒にできる、大好きな野球ができる、若い選手に野球を教えることができる。自分のやりたいことがすべてできると思った」。そして、「チームが必要としてくれた。勝利のためにできることをすべてやる。自分ができることをやれるよう、コーチだけでなく選手としてもできる限りのことをしたい」と抱負を語った。
約35分の会見で伝わってきたのはローズ氏の野球への真摯な想いだ。4月に入団のオファーを受けると1カ月の猶予を自ら求め、週5日・1日2~3時間のトレーニングを続けたうえで受託の返事をしたという。「この年齢でしっかり練習できたことに自分でも驚いている。心配はしていない」と話す。その一方で「どこまでできるかは、やってみないと分からない」とも。報道陣からのさまざま質問に対しても野球への謙虚な姿勢は一貫していた。
「NPBのファームが大リーグの3Aなら、BCリーグは2Aのような存在だと思う。(日本では地方都市の富山ではあるが)どこでやろうと野球は野球であり、わたしは野球をしっかりやるためにここに来た」と語った。帰国後は子育てが生活の中心だったが、大学に進学してちょうど親離れしたのだと言う。再び野球への情熱が沸き上がってきているのだろう。
サンダーバーズの永森茂社長は「実力と人気はもちろん、指導力や人間性も素晴らしい。最も期待しているのは指導力で、近鉄時代も彼に助言を請うて成長した選手が数多くいると聞いている。ゆくゆくはNPBの球団でもコーチになっていける人物だと思う。まずはサンダーバーズで力を発揮してもらう。個人的にも豪快なホームランが見てみたい」と話した。
BCリーグはサラリーキャップ制を採用しており、選手の月給の上限は40万円と決められている。「ローズ選手は億単位の年俸でプレーしてきた。こちらは最大限の誠意は示したが彼にとって問題はお金じゃない。吉岡監督との友情があって実現した」と永森社長。今季はヤンキースから古巣の広島に復帰した黒田投手の“男気”が多くの人々の心をとらえている。ここ富山では、ローズ氏の心意気がBCリーグとサンダーバーズ、地域と人々に新風を吹き込むかもしれない。