HOME > TSCタイムス > Jリーグがスタジアム建設の動向を説明/2017キックオフカンファレンス

TSCタイムス

[2017/02/24]Jリーグがスタジアム建設の動向を説明/2017キックオフカンファレンス

キクカンJ3フォトセッション

 Jリーグは2月13日、2017年シーズンの開幕に向けて、メディア関係者向けの広報イベント「キックオフカンファレンス」を開催した。
 今年はリーグが重点的に取り組む事業についてのプレゼンテーションも行われ、▽インターネット中継の開始▽東南アジアなどをターゲットにした国際事業▽スタジアム建設の動向▽次世代を担う選手育成の取り組み▽マネジメント人材の育成、について概要が説明された。


 この中から富山でも構想が発表されているスタジアム建設についてピックアップし、プレゼンテーションの内容を概説する。


 公益社団法人日本プロサッカーリーグ経営管理本部クラブ経営戦略部スタジアム推進グループの佐藤仁司氏が「2017年のスタジアム動向」と題して約15分にわたり説明した。
 今年のトピックスとして挙げられたのはこの5点。
(1)「ミクニワールドスタジアム北九州」の完成
(2)愛媛・今治に「ありがとうサービス.夢スタジアム」が完成予定
(3)「京都スタジアム(仮称)」の設計(着工2018年)
(4)「ハイブリッド芝」を認める規約改正
(5)廃校を利用したトレーニング施設着工へ
以下、項目ごとに説明内容を記す。


(1)北九州に街なかスタジアム
 北九州市の「ミクニワールドスタジアム北九州」は2月18日から使用が始まった。カターレ富山と同じJ3の北九州のホームとなる。
 新幹線小倉駅から500m・徒歩約7分にあり、「駅の海側(北側)の開発を目的に計画され、まちづくりをイメージして建設されるスタジアムとしては国内第一号といえるだろう」。客席とピッチが近く、最前列はピッチレベルでの観戦体験ができる「ゼロタッチ」が売り。収容15,300人で、客席の屋根カバー率は85.2%。昨年オープンした吹田スタジアムに続きスポーツ振興くじ(toto)からの助成を受けた。
 敷地面積が2.3ヘクタールというコンパクトさ、地震など災害時に観客がスタンドからピッチへ避難できる導線を設けていることも特長。「ピッチへの避難ルートの確保はドイツやイギリスでは義務付けられている」との説明があった。


(2)今治にJ3基準を満たす専用スタジアムが今夏完成
 愛媛・今治の「ありがとうサービス.夢スタジアム」は夏に完成する予定。岡田元日本代表監督がオーナーを務めるFC今治のホームとなる。収容5000人のJ3基準を満たす。
 FC今治はJリーグ入会を目指している百年構想クラブ。JFLに昇格したばかりだが、来季以降をにらんで専用スタジアムを用意したかたちだ。同じく百年構想クラブでJFLのヴァンラーレ八戸も昨年10月にホームの「ダイハツスタジアム」がオープンしている。
 「スタジアムを整備してJリーグを目指すという新たな流れがみられる。専用スタジアムをホームとするクラブは入場料収入が多い。(入会後のクラブ経営を考えても)Jリーグとしてはうれしいニュースだ」とした。


(3)京都スタジアム建設がスタート
 J2京都のホームとして構想されてきた京都スタジアム(仮称)が2018年着工、19年末完成を目指し今年から設計に入る。建設されるのは亀岡市のJR亀岡駅のそば。「距離でいえば100mほどしかなく、“駅前スタジアム”と言ってよいだろう。京都駅からは20分ほど。試合が終わって30分後には渡月橋にいることも可能」とのこと。


(4)ハイブリッド芝の使用認める
 本年度にJリーグ規約を改正し「Jリーグが認めたハイブリッド芝」の使用を認めた。サッカー競技規則の改正を受けての動きだ。
 ハイブリッド芝とは、天然芝に人工芝繊維を3~5%混ぜて補強材とするもの。これにより芝の根が地中の人工芝繊維に絡みついて丈夫に育ち、痛みにくくもなる。「90%以上は天然芝だ。人工芝繊維は3%ぐらいが理想で、5%にすると地面がカチカチになってしまう」
 J1神戸のホームであるノエビアスタジアムがピッチ外のエリアでテストを始めており、来シーズンから使用が始まる見込み。「ノエビアスタジアムではグローイングライトや地温コントロールも導入して寒冷地芝だけでやるようだ」とのこと。国内では昨年に数例のテスト導入があったという。


(5)行政と協力し、クラブハウスやトレーニング施設を整備
 J2の群馬、山口のクラブハウスが、前橋市、山陽小野田市にそれぞれ今年オープンした。ともに市の協力があり公共施設として整備され、クラブが優先使用するかたちだ。
 J2水戸のトレーニング施設として城里町が廃校となった中学校を整備する。2018年1月の完成を目指して着工される。「ドイツのスポーツシューレを思わせる施設が誕生することになる」と紹介した。


 吹田、北九州に京都が続き、観客席が屋根に覆われた専用スタジアムが増えて劇的な変化が起こりつつある。だだし、我々の目的はスタジアムをつくることではなく、それを通じて地域社会の問題を解決することだ。地域社会が抱えている問題は数多いが、スポーツがその解決策を提示できればよい。それがJリーグ百年構想の実現につながる。「スタジアムを核としたまちづくりによる地方創生を目指していきたい」との言葉で発表が終了した。


■Jリーグが把握するスタジアム構想には富山も
 プレゼンの中で各地のスタジアム構想について言及があり、動きが進んでいる地域として沖縄、山梨、山形、鹿児島が挙げられた(以下、参考URLなどは筆者が補った)。

 沖縄は県が那覇市内に約2万5千人収容のスタジアム建設を決め、2022年の供用開始を目指して16年度中に基本計画をまとめる。
http://blog.domesoccer.jp/archives/60060987.html
(ドメサカブログ)


 山梨では県の「総合球技場検討委員会」が16年12月に提出した報告をもとに基本構想策定に移る。
https://www.pref.yamanashi.jp/seisaku/sogokyugijyo/kentou_iinkai.html
(山梨県)


 山形ではモンテディオ山形が「新スタジアム推進事業体設立検討委員会」を設置し、建設事業を進める株式会社を2月に設立する。21年の供用開始を目指していくという。
http://www.montedioyamagata.jp/news/n-00006376/
(モンテディオ山形)


 鹿児島では16年度中にも新スタジアム建設の検討協議会が発足する。昨年11月に当選した鹿児島市長のマニュフェストに盛り込まれている。
https://www.city.kagoshima.lg.jp/soumu/shichoshitu/kouhou/shise/shicho/kaiken/h28shicho/h29-0127.html
(鹿児島市)


 プレゼン資料では以上の4カ所を含む17地域でスタジアム建設の動きがあると紹介され、富山市も含まれていた。富山経済同友会が15年4月に公表した提言「まちなかスタジアム構想」を指すとみられる。佐藤氏は、構想とまでは言えない段階のものも含めると全国に20~30地域にのぼるだろうとの見方を示した。
(取材と文・赤壁逸朗)

スタジアム建設をめぐる動き

スポーツ観戦お出かけ支援募金状況

2022年7月29日現在
■募金累計額 1,609,395円
■招待できた福祉施設数18