[2011/04/26]【野尻さん世界陸上へ】思い出の大会で決意を語る
世界陸上選手権(8月、韓国・大邱)の女子マラソン日本代表に決まった野尻あずささん(第一生命。富山市出身)が24日、魚津しんきろうマラソンにゲストとして来場した。
野尻さんにとって、しんきろうマラソンは特別な大会。3年前、一般出場してハーフマラソンで優勝したことが、クロスカントリースキーから陸上に本格的に転向する契機となった。スポーツに打ち込むようになったきっかけも、子どものころに出場したこの大会だという。「小学5年の時に初出場して、体を動かすことや競うことの楽しさを知りました。走ることが気持ちよく、また走りたいと思った。3位になってもらったトロフィーがすごく大きくてうれしかったことを覚えています」と話した。
開会式では「みなさんの走りから力をいただきたい」とあいさつ。スタート・ゴール地点で声援を送ったり、表彰式のプレゼンターをしたりしながら参加者と交流。コースの交通規制が終わる制限時間いっぱいまでゴールへ向かうランナーに声を掛け続けていた。
〇…野尻さんはニュージーランド・クライストチャーチでの合宿中に大地震に遭遇。東日本大震災の発生によって参加予定だった名古屋国際女子マラソンが中止となり、代わって世界陸上の代表選考会に指定されたロンドンマラソンに出場。自己ベストの2時間25分27秒の12位で日本人選手2番手に食い込んで日本代表入りを果たした。
以下は魚津しんきろうマラソン会場での囲み取材でのコメント。
今回、世界選手権の代表に選ばれ、自分の走りを披露するチャンスをもらった。(目標にしている)ロンドンオリンピックにつながる走りをしたい。ともに選ばれた第一生命の先輩の尾崎さんが金メダルを目指している。一緒に練習することができるので恵まれている。わたしも金メダルを取るつもりで頑張っていきたい。(世界陸上は)この夏のレースなので(準備期間は短いが)、しっかり疲れを抜いてからトレーニングを再開する。(ロンドンマラソンで出した)自己ベストでは世界に通用しないので、底上げできるようにしたい。
ニュージーランドでの合宿中に地震に遭遇した。自分の身こそ無事だったが、ふるさとの生徒さんや先生方が被災し、心苦しかった。その後も富山では山岳の事故もあり、自分が走っていることへの戸惑いがあった。その中で思ったのは、わたしには走ることしかできないということ。そして、走ることで誰かを元気づけられたらよいということだった。目標とするレースが1カ月もずれることは普通ないこと。長いスパンでピークを合わせてきたので再調整は難しい。それでも、奮い立ち、奮い立たせてもらって、(ロンドンマラソンまでの)1カ月すべてを準備に費やすことができた。
(東日本大震災で被災した人たちは)今は先が見えなくて苦しい状況だと思う。わたしは、『前を向いてあきらめなければ道は開ける』というわたし自身の信念を走ることで表現したいと思う。
地元にはあったかい空気が流れていて、帰ってくるだけで気持ちが休まる。いろんな人たち、お世話になった方や友人、スポーツをしている後輩たちと会って話せることがうれしい。話すことで自分が間違っていないことを確認できる。みんなから支えられ、力をもらっていることが実感できる。
世界陸上に出場できることはチャンス。そのチャンスをつかみたいと思う。野尻あずさ、ここにありという走りをしたい。
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