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お知らせ

[2008/06/29]イタリアユースサッカークリニックinとやま2006開催しました 12.15/16.2006

Kawamura04s 富山スポーツコミュニケーションズ主催、富山県サッカー協会並びに北日本新聞社の後援でイタリアユースサッカークリニックin とやま2006が12月15、16の両日に開催されました。

 富山スポーツコミュニケーションズ主催、富山県サッカー協会並びに北日本新聞社の後援でイタリアユースサッカークリニックin とやま2006が12月15、16の両日に開催されました。

講師にUEFA公認B級コーチであり、イタリアでのコーチ経験もある河村優氏を迎え、2種~4種の年代の選手の指導者を対象にトレーニング方法、育成指導について実技に基づいて講義が行われました。

また、「イタリアのスポーツ文化、観たもの触れたもの」と題しての講演や河村氏との懇親会も
行われ、イタリアでの経験を元に興味深い話が聞かれました。   Kawamura01Kawamura02Kawamura03Kawamura04Kawamura05 Kawamura06Kawamura07








このクリニックの参加募集記事と開催の模様が北日本新聞に掲載されました。
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イタリアサッカークリニックを終えての河村氏の感想です。

『スポーツを楽しむ』



私がイタリアから日本へ帰ってきて日本の少年たちの真面目さと一生懸命さに改めて感心
しました。イタリアの少年たちはおもしろくないことには関心を示さず、すぐに手を抜き集中力を切らす場面に出くわします。
ですからコーチが常に目を光らせておかないといけないのです…苦笑。
しかし日本の少年たちは何事にもコーチのオーガナイズに対して実直に動き、懸命に取り
組もうとします。ですから小さな頃からテクニックの習得は抜群に速く、ボールを使った
敏捷性などが世界的に見ても高いと思うのです。

一方で弊害もあります。先ほどイタリアの少年たちはおもしろくないことには関心を示さない
と述べました。それはトレーニングもゲームの一部として【スポーツを楽しむ】という概念が
そこに存在しているからです。

彼らの場合コーチのオーガナイズ+自分たちのテクニックを磨くために得点競争などで
競技相手と駆け引きを楽しめる。またそのために習得したテクニックを『どの場面、いつ、
どのように?』という局面を考えながら発揮することが重要であるのを理解できているのです。

 しかし日本の少年たちは指導者のいうことを真面目に捉えすぎて【プレイを楽しむ】という原点を忘れて練習に励むきらいがあります。
そうなると結局サッカーで一番重要な相手との駆け引きがそこに存在しないまま技術を習得してしまうので、『いつ、どこで、どんなテクニックを発揮できるか?』ということを考えずに
プレイしていることになるのです。

  富山の少年たちはさらに勤勉さという地域の色が反映されている印象を受け、よく言えば「真面目」、ちがう言い方をすれば「自分で判断して敵よりも有利になる方法を知らない」
ようにも見えました。

  この問題点はコーチにも原因があります。イタリアの少年たちはおもしろくない練習は
ハッキリ『おもしろくない!』と言って取り組まないことも多々あります、苦笑。
そういった意味でコーチもおもしろくて、なおかつ技術や戦術が習得できるトレーニングを
考えないといけません。もちろんおもしろくなくてもキックの基本動作フォームを安定させる
ためなどの静的動作の基礎練習も時には必要です。
しかし子供たちも日々進化していくわけですからコーチも指導者という面だけでなく
エンターテイナーとしての側面も持ち合わせていくことが日本においても今後は必要となるでしょう。

  どのように?やはりサッカーは敵が存在するスポーツですからそこに競争原理が働いて
いるわけです。日々の練習も敵が存在しないよりは存在している方がはるかに試合に近い
シチュエーションになります。
そういった意味で得点形式の練習などを増やして敵対動作などが入ってくる場面も増やしていけば敵のプレッシャーに対してもきちんと判断できるプレイヤーが育ってくるのではないでしょうか…。

  いやむしろ凄まじいスピードで進化している現代サッカーを考えた場合に静的動作の
基礎練習も徐々に動的動作の中で上達させていくことを考えていく必要があると私は思います。

  

  『ゴールへ』

  

  次に感じたことはやはり【ゴールへの執着心の欠如】でしょうか?!

  これは何も富山の子供たちだけがそれに当てはまるわけではありません。

  日本全体の問題でもあります。

  例えば私は3人vs2人の攻撃の練習を行ないました。

  瞬時に【ゴール前でDFラインに穴が開く】というシチュエーションでしたが、
シュートレンジに入っても子供たちはドリブル突破を図ったり、味方へのパスコースを
うかがっている場面に多く出くわしました。

  サッカーの本来の目的はゴールを奪うために楽しむことです。

  そのゴールを奪うためにまずはゴールを意識させていくアドバイス、そして指導者の方々は1日必ずゴール付きのトレーニングメニューを考えていくことが最重要課題だと思います。

  

  最近よく『イタリアと日本の決定的な違いって何ですか?!』と質問されることがあります。
そんな時私が思い出すイタリアの少年たちの光景です。

練習が開始される前にグラウンドに少年が1人あらわれた、さぁ何をする?!
無人ゴールに向かってシュート!
次に2人目があらわれた、さぁどうする?!
ゴールに入ってGKとなり対決が始まった!!
そしてさらに3人目が登場、さぁどこへ行く?!
サイドへ走り、クロスを上げ始めて3人でゴール前の対決を楽しみ始めた!!!
最後にはゴール前でセットプレイみたいな形になって両チーム入り乱れての混戦となります!!!

  

日本人の子供たちも幼い頃はこんな光景を見ていた気がするのですが、段々と年齢を重ねることに…。

練習が開始される前にグラウンドに少年が1人あらわれた、さぁ何をする?!
グラウンドの端でリフティング!
次に2人目があらわれた、さぁどうする?!
対面して二人組みインサイドキックが始まった!!
そしてさらに3人目が登場、さぁどこへ行く?!
3角形になって3人組のボール回し!!!
最後に4人目が現れた、何が始まる?!
3vs1!!!


民族性の違いってどの年代から変化されていくのでしょうか…?!
この【ゴールを奪いたい!!!】という気持ちこそイタリアと日本だけでなく世界との決定的な
違いだと思うのです…。

  

  本当に考えれば当たり前のことなのですが、ゴールを無意識に意識させるトレーニング
メニューを考えるのは私もいつも苦労します。

  

  このように毎日、私は振り返ります。

『今日のトレーニングは子供たちにとって楽しかったものか?!』

『今日の行なったことは上手くいったのかな?!』

『今日のアドバイスの仕方は正しかったかな?!』

『今日自分がやったテーマを子供たちは吸収してくれたかな?!』

『その年代に正しい負荷・適度な量・質に基づいて実行できたかな?!』

  まだまだ他にも考えられます。

  サッカーって答えがないスポーツですから何が正解というものはありません。

  しかし少なくとも子供たちの成長を見守ることもさることながら、自分自身を
振り返ってみる必要があると私は考えます。

  感受性が強い、多感な時期の子供たちを育てるゆえに私たち指導者もアンテナを
あらゆる局面で張り巡らしていることが必要だと考えます。

  最後になりましたが、今回イタリアサッカークリニックを依頼してくれた
NPO法人富山スポーツコミュニケーションズ、そして後援で協力していただいた
富山県サッカー協会の皆様に感謝すると共に、富山のサッカーが発展していくことを
心から応援したいと思います。

  本当にありがとうございました。

                                    河村 優


河村優(かわむら すぐる)氏 経歴

.選手経歴
1990~1993年広島観音高等学校サッカー部(1993年主将)
1993~1997年神戸学院大学体育会サッカー部(1997年主将)
1997年関西学生サッカー春季リーグ2部ベストイレブン
1997年関西学生サッカー秋季リーグ2部ベストイレブン
2005~2006年イタリア-ウンブリア州アマチュアリーグ1部優勝(11人制)
2005~2006年イタリア-ウンブリア州アマチュアリーグ1部所属(8人制)

ライセンス
ヨーロッパサッカー協会公認B級
イタリアサッカー協会公認「Allenatore di base」
イタリアサッカー協会・オリンピック委員会公認「Istruttore di scuola calcio」
日本サッカー協会公認B級コーチ

過去の日本における指導実績
1997~2003年FCフレスカ神戸Jrユースコーチ
1999~2003年兵庫県第3種トレーニングセンタースタッフ
1998~2003年兵庫県クラブユース連盟理事
2004年第28回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会運営委員
2004年姫路獨協大学サマーキャンプ特別臨時コーチ
2005年大阪産業大学付属高校サマーキャンプ通訳アシスタントコーチ(イタリア人コーチ招聘)
2005年姫路獨協大学サマーキャンプ特別臨時コーチ
2006年大阪産業大学付属高校サマーキャンプ通訳アシスタントコーチ(イタリア人コーチ招聘)
2006年姫路獨協大学サマーキャンプ特別臨時コーチ

イタリアにおける指導実績
2003~2004年イタリアペルージャ市A.P.D.Montemorcino Jrユースコーチ
2003~2004年ペルージャ外国人大学監督
2004~2005年イタリアペルージャA.P.D.Montemorcino U-12監督
2005~2006年イタリアペルージャA.P.D.Montemorcino U-16監督
2005~2006年イタリアペルージャA.P.D.Montemorcino セリエC女子トップチーム監督
2005~2006年FC.ユヴェントスサッカースクール指導者講習レベル3修了(日本人初)
2005~2006年FC.ユヴェントスサッカースクールコーチ(日本人初)

イタリアにおける通訳実績
2004年FCフレスカ神戸U-14バスティア国際トーナメント大会参加通訳帯同
2004年静岡高校国体強化選抜チームイタリアキャンプ通訳帯同
2005年ジェフ市原・千葉辰巳台U-14バスティア国際トーナメント大会参加通訳帯同
2003~2005年FCフレスカ神戸イタリアキャンプ通訳帯同
2006年FCフレスカ神戸U-14バスティア国際トーナメント大会参加通訳帯同

 







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