[2009/02/11]南木アドバイザーがJCY研修会で講演!
2月7日(土)~8日(日)日本サッカー協会(東京)で行われた第5回日本クラブユースサッカー連盟パイロット研修会にて、TSCアドバイザーの南木恵一氏が2日間にわたり講演を行いました。
JCYパイロット研修会は、地域に根ざした多世代型サッカークラブが今後さらに発展できる環境整備や人材育成を目的としています。
さらに全国の地域・都道府県クラブユースサッカー連盟が連携し、ネットワークを作って情報を共有、問題解決の糸口を探ることを目的に年1回開催されています。今回は北海道から九州までの7連盟14名が集まり、講演の聴講やグループワークを行いました。
南木氏の経歴は民間フィットネスクラブの水泳指導員を務めるかたわら、富山県広域スポーツセンターに出向、クラブマネジャーとして総合型地域スポーツクラブを富山県の全市町村に発足させるために力を発揮されました。また、昨年は(株)メディアプロから富山サンダーバーズベースボールクラブに出向、プロ野球独立リーグの球団運営と営業に携わられました。地域スポーツの在り方を考える先駆者として、全国を講演に飛び回る日々を送っておられます。
まず南木氏は初日のセッション2に「総合型地域スポーツクラブについて」との演題で講演されました。子供たちの体力低下が懸念される昨今、産業界からも将来の人材という観点から危惧する声が上がっていることを引き合いに出し、生涯にわたってスポーツに触れ、親しむ環境作りを総合型クラブが担っていることが紹介されました。
過去の「水と空気とスポーツはタダ」といった風潮を否定し、受益者負担の原則に立ち、地域ごとに抱えているスポーツの問題点を話し合って解決するのが総合型クラブであると説明。
日本ではスポーツ少年団→中学→高校と競技の選択肢が減る傾向にあること、指導者不足や企業スポーツの休廃部などが大きな問題となっている一方、体操・レスリング・水泳・柔道など世界に通用する競技では、いずれも世代間格差を埋めるクラブ(道場)が存在していることに注目。総合型クラブがこれらの問題を解決し、子供から大人まで幅広くスポーツを楽しみ、競技レベルを上げ、青少年の体力低下を防ぐ存在になり得ることを解説しました。
翌日のセッション8で再び登壇した南木氏は、「プロスポーツクラブと地域の連携」と題した講演を行いました。総合型クラブの市町村別組織率が100%であり、野球・サッカー・バスケットボールの3つのプロクラブが存在する富山の特徴が説明され、これらが有機的に連携を深めていく「富山型スポーツ構想」についての言及がありました。
富山にプロスポーツが誕生して、身近にプロ選手がいるという憧れの存在ができ、スポーツ観戦というレジャーが増えた反面、期待されていた県内競技レベルの向上や、優秀なプレーヤーの県外流出防止という部分では発展途上にあると分析。Jリーグ百年構想を引き合いに「富山をスポーツで幸せにする」とのビジョン達成のため、プロクラブ指導者による各種教室や総合型クラブへの選手の参加、観戦ツアーの実施などの事業を考えていることが紹介されました。
この講義の中で「スポーツは心と体を癒す唯一の文化」という言葉が紹介されました。TSCミッション・ビジョンにもあるように、「する」だけがスポーツではなく、「観る」「支える」などの多様な関わり方が考えられます。大人と子供が共に喜びを分かち合い、世代間の交流を促進し、豊かなコミュニケーションを育むことが、真のスポーツ文化に繋がるのではないでしょうか。
この研修会の模様は、日本サッカー協会公式情報誌「JFA News」にも掲載される予定です。今回の受講生を含む全国のサッカー関係者に「スポーツにおける富山の挑戦」を紹介する、またとないチャンスとなりました。